こんにちは!JUNSANのミニチュア航空博物館です。今回はファインモールド渾身の最新作である零戦を作ってまいります。「ファインさんは零戦作らないんだ~」とずっと思っていましたが、ここにきてようやくの発売となりましたね。前評判を聞く限りでは、大変興味をそそられる内容でどうしても試してみたくなり、今回製作に取り掛かることにいたしました。
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【出典】文林堂 零式艦上戦闘機
【前置き】
まずはインストを眺めてみましょう。マニアックな内容となりますが、三菱製と中島製の違いが説明されています。実際に生産された零戦のほとんどが中島製というのは知っていましたが、胴体の迷彩の塗り分け以外にも違いがあることは初めて知りました。
パーツ数ですが、1/48大戦機にしては多いですね。コクピットとエンジンがリアルに再現されているようですので、内容的には1/32と同じくらいです。
インストを眺めているといたるところにQRコードが記載されています。動画で補足説明されているようです。( ゚Д゚)
これは世界初ではないでしょうか・・・?すべてのメーカーを知っているわけではないので何とも言えませんが、動画で組み立て方を説明しています。凄い時代になりましたね~。電話機でビデオを見ながらプラモを作ることは昭和生まれにはちょっと想像できませんでした。(;^ω^)
それではパーツを見てみます。まず、大注目なのがこの分割ですよね。これは本当に目からうろこでした。このパーツを組んでみたくて買ったようなものです。
そしてこれ、風防のクリアーパーツを別パーツとしマスキングの手間を排除。どこまでリアルに仕上がるものか試してみたいです。
あとは、全体的にびっしりと施されたリベット表現です。1/48でここまでされてしまうと、もう手を入れる余地がありません。もはや1/48の内容ではありません。この内容で、¥3,000台で買えてしまうんですから、これまた驚きです。
【胴体内部の製作】
それでは進めてまいりましょう。あまり精査せずにポチってしまい・・・中島製を買ってしまいました。「ここは敢えて三菱製でしょ??」という声が聞こえてきそうですが・・・。(;^ω^)
今後、機会が無さそうなので、長らく積んであったタミヤの52型も一緒に作って、両メーカーの違いを見比べてみましょう。
【胴体内部の組み立て】
それでは進めてまいりましょう。まずはコクピットのパーツを全て切り出してみます。タミヤ1/32のそれとほぼ同程度の内容、仕上がりと感じます。
当然のように座席の軽め穴が開いています。昔は、まずこれの穴あけからスタートしたものです。しかも、写真では良く判らないかもしれませんが、薄さがヤバいです。超リアルです。サードパーティさんの出る幕が無いですね。(;^ω^)
それではインストを見ながら順通りに進めてまいりましょう。インパネ周りは実機のようなパーツ構成となっております。完成後は見えなくなってしまう部分まで忠実に再現されています。実機の構造を知ることができるのはもちろんですが、カットモデルやジオラマ製作する際にも非常に助かる仕様ですね。( ´∀` )
インパネ周りです。左がタミヤです。大きな違いはありません。タミヤはデカール仕上げ前提でメーター類の彫刻がありません。
右舷コンソール周りです。上がタミヤです。見本が同じなので当然と言えば当然なのかもしれませんが、ほぼほぼ同じ仕上がりとなっています。ファインさんのはコクピットを組んでから胴体に差し込む仕様です。エンジン架まで再現されているのには驚きます。
左舷です。こちらも大きな違いはありませんね。
座席周りです。左がファインモールドです。ファインさんの方が少しディティールが多く再現されている感じです。
インパネ周り完成の図。左がタミヤです。塗ってしまうと、よーく見ないと違いが良く判りません。ちなみにフロアーの塗装色はインスト無視しています。タミヤ1/32の時の刷り込みが強いのか、どうしても薄松葉色で塗ってしまいます。
ファインモールドのサイドコンソール。
タミヤのサイドコンソール。
タミヤのコクピットの組み立ての図。シートベルトはファインモールドのナノアビを使用しています。
ファインモールドと異なりエンジン架の再現は有りませんが面白い設計がされています。
ファインモールドのコクピット組み立ての図。機銃も全身が再現されています。
ファインモールドインストにおいては、サイドコンソール部や各ハンドル類の塗り分け指示があまり無いので、タミヤインストに従って同じように塗ってみております。実際はファインさんの考証が正しい気もしますが、模型としての見栄えを考量して色数を増やしております。<(_ _)>
いずれのメーカーもこのスケールでは最大限の再現をされていると思います。実際胴体を組んでしまうとコクピット内部はあまり見えなくなってしまいますので、十分すぎる再現度と言えるでしょう。
【胴体と翼の組み立て】
インストに従ってファインさんの組み立てを見ていきます。主翼内部には桁のパーツが用意されています。
脚庫の構成も、1/48では考えられない凝りようです。( ´∀` )
主翼の組み立てです。組んでみた感想ですが、K2、K3パーツは別パーツにしない方が良いかな・・・と思いました。
右舷だけですが、少し隙間が発生します。<(_ _)> 少しパテを差しておきます。
主翼と胴体の合いは左右共にばっちりです。パテは不要です。( ´∀` )!
ちなみに、こちらはタミヤです。タミヤもほぼ同じパーツ構成です。こちらは両舷共に少しパテ整形が必要です。(私のすり合わせが足りないだけの気もしますが・・・。)
胴体尾部の構成もユニークです。
実機もこうなっているのでしょうか。合いはばっちりです。
垂直安定板と胴体の接合部分ですが、厳しめの意見をすると、ちょっと隙間が気になります。インストにおいて、水平尾翼は塗装の後で取り付けるようになっておりますがこちらも左舷だけ少し隙間が発生しますので、接着&整形後に塗装の方が良いでしょう。
ステップ16で、本キットの目玉の一つである実機のような胴体接合です。
接合部はサンディングで整えておいた方が良いでしょう。
正直なところ、ここはそんなに合わないだろうと思っていましたが、接着部をきれいにサンディングすると段差も隙間も全く発生しません。これには本当に驚きました。( ゚Д゚)!!
タミヤさんの方は0.2mmのプラペーパーを挟むぐらいの隙間が生じます。それでもパテをてんこ盛りしていた昔のことを考えると素晴らしい精度です。
ちなみに、今回フラップは閉じた状態で組み立てます。
フラップですが、基部(接着部)を加工することでタミヤも開閉の選択が可能です。タミヤの方は押し出しピンの跡があるので、こだわる方にとっては処理が面倒ですね。
というわけで、士の字完成の図です。大戦機なので、コクピットを作ったら士の字まではあっという間です。ぱっと見の感想ですが、正直、大きな違いは感じません。表面のリベット再現など、細部は全然違うのですが、デフォルメのタミヤと言われるぐらいなので、もっと顕著な違いがみられるかと思いきや、遠目で見たら整形色が違うぐらい?というほど瓜二つです。
【塗装】
それではお楽しみ、塗装に取り掛かりましょう。
今回はこちらのマーキングで仕上げていきます。日の丸は白フチが好きなんです・・・。<(_ _)>
ボックスアートの隼鷹搭載機は日の丸のフチが緑で塗りつぶされた仕様なんです・・・。( *´艸`)
まずは接合部のチェックと傷消しの意味合いも兼ねて、クレオスの#1500サーフェイサーを塗布します。特に、主翼前縁の識別帯を塗る部分は丁寧に白くしておきます。
次に識別帯の黄色を塗りますが、ある程度デカールの色味に合わせておきます。タミヤの方はボックスアートの厚木航空隊にしました。
黄色をマスクして、下面色の明灰白色を塗装して緑を塗ります。
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【出典】文林堂 零式艦上戦闘機
今回は塗り分けラインをぱっちりとマスキングすることにしました。実機の写真を見ていると、どう見てもただのフリーハンドとは思えないラインの機体がほとんどなんですよね。型紙かなんかを当てて塗っているのでしょうか、ほんの少し境界線がボケてはいるのですが、1/48スケールであればテープで境界を描いても違和感はないと判断しました。<(_ _)>
下面色もそうなんですが、上面色の緑は自家調色です。<(_ _)> 基本的にはクレオスの指示色をベースにはしているのですが、自分好みの色調にアレンジしてしまっております。(;^ω^)
ここは両機とも、ブラックグレーで塗装しました。ファインさんのインストではジャーマングレイ、タミヤさんのインストでは機体内部グリーンとなっていますが、暗色系の方が締まって見える気がしましたのでファインさんの案を参考にしました。
上面色に関しまして、べた塗りでは面白くないので、少し暗い緑で軽くムラを描いておきます。
メインの塗装が終わったら、その他の細かい部分も塗ってしまいます。
【エンジンの組み立て】
エンジンを作っていきましょう。シリンダーは黒で塗るよう指示されておりますが、今回はシルバーで塗って黒で墨入れをします。52型は完成後、あまりエンジンが見えないので、明るい色で塗って存在感を出しておきます。<(_ _)>
タミヤさんの1/32とほぼ同じ構成です。給気管まで再現されています・・・。ちょっとやりすぎの感もありますが・・( ゚Д゚)!!
ストレート組でこの仕上がりです。( ´∀` )
完成後はあまり見えないので、今回はプラグコードは省略します。<(_ _)> 左がタミヤさん、右がファインさん。実際、タミヤさんで十分です。実機の再現という観点でファインさんのサービス精神には頭が下がります。
カウリングです。両メーカーともインストでは黒の指示ですが、昔の刷り込みなのでしょうか、ハセガワさん考証のカウリング色(青みがかったダークグレー)に近い色調としました。左がファインさん。ここに関しては表面的な再現の違いだけが相違点ですね。
実際、ファインさんのカウルがタミヤさんにピタッと収まります。( ゚Д゚)! 形状も大きさも、全く同じとは言い切れませんが、ピッタリはまるうえに、違和感もありません。
デカールの前に薄めの黒でウォッシングをしておきます。ファインさんの方は1/32と言われても全く疑えないぐらい映えますね・・・。( ´∀` )
今回はチッピング、退色表現は控えて仕上げたいと思います。記録映像などを見ても比較的きれいな機体って多いんですよね。
写真ではよくわかりませんが、ほんのりムラがある程度です。
【デカール貼り付け】
それではデカールを貼っていきましょう。国籍マークですが、ファインさんの方は補助翼の操作ロッド部に切り欠きが設けてあるので非常に貼りやすいです。しかも、この切り欠きがあるおかげで位置決めも楽ちんです。( ´∀` )!
マークセッター併用でモールドにもぴったりと馴染みます。余白もほとんど無いので、わざわざ塗装する必要もないきがします。
デカール完了の図です。一部シルバリングしていますが、クリアーコートで消えると思われます。補助翼動作ロッド部の凸部はデカールも付属していますが、後で筆塗りした方が楽な気がします。
こちらはタミヤさんです。若干厚手のデカールのせいか、マークセッターだけではモールドにうまく馴染みませんでした。が、違和感を感じるほどのものではありません。その他、細部に関して、若干解釈の違いは認められますが、ほぼ々同じ仕上がりを見せます。
両機とも若干の光沢感を感じられる程度のクリアー仕上げとします。
【細部を仕上げて完成】
それでは細部を仕上げて完成まで進めてまいりましょう。
カウリングに関し、ファインさんは完成後もエンジンを見れるように接着しない指示となっておりますが、今回はディティールアップもしていないので固定してしまいます。
脚部はブレーキホースを追加するだけで両メーカーとも十分な仕上がりを見せます。ファインさんは完成後もタイヤが回転します。( ゚Д゚)!
しかも、基部が翼の内部から突き出している再現がなされていて、これまた超リアルです。駐機状態でのディスプレイだと全く見えなくなる部分なのに、ほんとすごいこだわりです。
プロペラですが、右がファインさんです。カウンターウェイトの再現ももちろんですが、厚みの再現とねじり(?)の表現が素晴らしいです。こちらもツボを押さえたこだわりを感じます。( ゚Д゚)!!
照準器です。再現度は非常に高いのですが、補助照準リングの部分までパーツで再現さていますね・・・ここはちょっと気になりますので、
ファインさんのエッチングに置き換えておきます。タミヤさんのも同様なので、そちらもエッチングに換装しました。
クルシーアンテナは両機とも取り付けません。あまり役に立たなかった装備の様で、実際に取り付けていない機体が多かった様です。アンテナ支柱はファインさんは緑の塗装指示、タミヤさんは茶色の指示なので、それぞれ従っておきます。
ヘッドレストの形状はずいぶん解釈の違いがみられます。まあ、完成後は全く気にならない部分ですが・・・(;^ω^)
20mm機銃です。同社より真鍮挽き物製が発売されていますが、今回は敢えて整形&開孔でチャレンジです。ひと手間加えることで、キットパーツでも十分な仕上がりを見せます。(ピトー管も同様です。)
7ミリ7も同様に開孔処理をしております。<(_ _)>
整形の際にどっかに行ってしまった脚出し指示棒をプラペーパーで再現しておきます。タミヤさんの方も同様に追加しておきます。
ゲート処理が大変ですが、翼端灯もぴったりと取り付け可能です。編隊灯も塗り分けます。
ファインさんの方は増槽無しとさせて頂きます。個人的に、零戦は艤装無しが美しいと思っております。<(_ _)> タミヤさんの方はポリキャップで脱着可能なので製作しました。
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【出典】文林堂 零式艦上戦闘機
あまり見慣れない増槽ですが、後期型の増槽とのことです。( ´∀` )
続いてキャノピーです。世間的には当キット一番の目玉でしょうか。世界初、フレームとガラスの別パーツ化です。( ゚Д゚)!
発想も、成形技術も素晴らしいです。ほんとに。でも、整形作業がすっごく難しいです。
手でつまんでヤスリがけをすると・・・。気を付けていたつもりなんですが・・・。(T_T)/~~~
写真は金尺を土台にしていますが、指でつまむのではなく、何か、硬いものに両面テープで固定するなどしてサンディングしないと、変形したり、折れたりは必須です。
クリアーパーツのゲート跡もきれいに処理しないと上手くはまりませんし、はみ出さないように接着するのも難しいです。私なんぞは昔ながらの方式で慣れてしまっていますので、こちらの方がはるかに難しく感じました。(;^ω^) うまくレビューができず申し訳ございません。<(_ _)>
最後にアンテナ線を貼ります。どうしても伸ばしランナーを使ってしまいます。金属リギングも持ってはいるのですが、どうしても好きになれません。太さもそうですが、ピンと張るのに結構なテンションが必要で、アンテナパーツに負荷がかかるので嫌いです。零戦は割と頑丈な構造なので問題ない気もしますが、支柱が細い機体などは、経年とともに歪んできたりします。
という訳で、完成!!です。ファインさんのキットの感想だけ言わせていただくと、兎に角、ディティールの再現がすさまじいです。1/48の概念を大きく覆す内容で、ただただ驚きの連続です。皆様に一度は作ってみてもらいたい零戦であることは間違いないです。
あと、記事中では触れませんでしたが、個人的に一番気に入ったのが、翼の後縁の薄さ、垂直安定板の薄さです・・・。(;^ω^) 当キット目玉の部分ではなくて申し訳ないのですが、要所の厚みの再現って、リアリティにかなりの影響をもたらすと思うんですよね・・・。
画像をクリックしていただくとギャラリーへジャンプします。 またのご来館をお待ち申し上げます。ありがとうございました。