タミヤ 1/32 F4U-1 in Pacific 製作記





今更ですがタミヤの傑作キット、1/32コルセア(バードケージ)をご紹介してまいります。内容は最近のタミヤスタンダードなので、何のストレスもなく組み上がりますが、部品点数が多いので、割と根気が必要かと思います。今回は、完成後は見えない細部を可能な限り省略し、外観重視のモデルを作成していきます。目標は7日間でフィニッシュです!

外観重視なので、思いっきりウェザリングをかけてみたいと思います。参考資料は「世界の傑作機」と「エアロディティール」です。「世傑」は値段の割には素晴らしい内容量です。ニューキットが出る度に探しに行きます。

【出典】文林堂 世界の傑作機

【出典】文林堂 世界の傑作機

「世傑」より、南の島のコルセアです。こんな感じで激しく退色し、土埃で汚れたライブ感のある機体に仕上げようと思います。

【1日目:機体内部の組立】

まずはインストに従って、コクピット、尾輪周りのパーツを切り出します。最近のタミヤキットの場合、可能な限りゲート部分を見えない側に持ってきてあるので、こだわりの無い方はニッパーで切って終了でも問題ないと思います。今回は、完成後に見えない面はデザインナイフで削って終了としています。

一種類の色を1回で終わらせるつもりで製作していくと時短につながります。但し、パーツの紛失に直結しますので、後の管理は必要になってきます。コクピット両側壁面のパーツも小さいものは付けてしまい、後で塗り分けします。因みにインテリアグリーンはオリジナル調色のアメリカ用緑です。尾部をイエローで塗っているのは先入観(遠い記憶)なので気にしないでください。

尾輪の機構も素晴らしく再現されています。こちらも組上げてからの塗装にします。(エアブラシ塗装の前提ですので、予めご了承願います。)

サイドの機器類です。塗るのは側面と上面のみでOKです。ただし、胴体下面に除き窓がありますので、完成後に覗き込みたい方は塗装してくださいね。今回はきちんと塗装しました。

コクピットのパーツをそれぞれ塗り分けてから、組み立てていきます。シートベルトはファインモールドのナノアビを使用しています。しかし、素組みでこの完成度って凄いですよね。以前、パイピング等を施したことがあるのですが、完成後は素組みと大差なくてがっかりした記憶があります。

単体では素晴らしいコクピットも、完成後、座席より下側はほとんど目立ちません・・。「あー、何かある」程度です。一日目はこのぐらいでしょうか。切り出し、整形に1時間、塗装に2時間、組み立てに1時間といった感じです。実際は平日にこれだけの時間を模型に割くのは、なかなか難しいですね。ご参考程度です

【2日目:翼の製作と胴体の組立】

2日目です。今回は翼を作って「士の字」しましょう。主翼は折りたたみと展開の2種類が選択できますが、展開状態で進めます。動翼は固定なので少し楽です。フラップは下げ状態と上げ状態のどちらかを選択できますが、今回は上げた状態で進めていきます。まずは主翼から始めます。

【出典】大日本絵画 エアロディティール25 ヴォートF4Uコルセア

このキットの唯一の欠点かもしれませんが、機銃の再現がされていません。「エアロディティール」の写真からも判るように、外には出ていないのですが、前から見たら結構見えます。難しい工作ではないので、真鍮パイプを使って再現しましょう。

こんな感じで、径の異なるパイプを組み合わせてそれらしく見せます。ちらっと見える程度ですので細部にこだわる必要はないと思います。最近はチューブカッターが販売されていますが、私は昔ながらのナイフ転がし戦法でカットし、金属製の板ヤスリで端面を整形しています。主翼との固定は高粘度瞬着を垂らして硬化スプレーでガチガチに固めます。方法はお好みですが、完成後に外れると修正が大変なので、とにかく「絶対に外れないように」が大切です。

まずまずです。正面しか見えないので、完成後にシルバーか何かでエッジを塗ればOKです。

空気取り入れ口です。たいへん良くできています!ペーパー整形は不要です。塗装指示がありますが、塗らずに組み立ててしまいます。機体を塗る際に、下面色と一緒に塗れば遜色なく仕上がります。

主翼が展開状態なので、胴体中央のインテリアグリーン以外の塗装指示は一切無視してOKです。

フラップ周りが少し面倒ですがインスト通りに組み立てます。塗装は不要です。素晴らしいディティールです。

主翼前縁にガンカメラのクリアパーツが付くのですが、汚れるのが嫌なのでサンディング後に取り付けます。よって、主翼は全部組まずに写真の状態でサンディングします。

脚とプロペラもサンディングに備えて接着してしまいます。翼と胴体の接合部は完璧に合うので、士の字にしなくてもサンディングに進めるのが非常にありがたいです。

ガンカメラの部分です。カメラ本体もパーツ化されていますが、展開状態の場合、完成後は見ないので省略します。

サンディングを終えて、翼と胴体を合体させます。私の組み方が悪いのかもしれませんが、折りたたみ部分に若干隙間が出来ます。サラサラ系の瞬着を軽く流して固定します。

【3日目:基本塗装】

「後は塗装と組立のみ」の状態にしておきます。まずはエンジン周りです。割と目立つ部分なのでパイピングを施します。サカツウのソフトワイヤーで再現します。分割パーツは接着してサンディングしておきましょう。

脚周りです。今回はトライカラーの機体にしますので、この部分は全部ホワイト塗装になります。

今回は実機写真も存在するこの機体にします。

【出典】文林堂 世界の傑作機

「世傑」より当機の実機写真です。(たぶん)パッと見はトライカラーじゃない様にも見えます。激しく退色しています。車輪のホイールは黒なのでしょうか。インストはダークグレーの指示になっています。・・・悩ましいです。

さっそく塗装に入っていきましょう。まずは機体からです。ホワイトの部分はクレオスの316番です。汚しの事を考えて、若干艶消し剤をまぜて塗ります。このホワイトは割と隠ぺい力が強いので、楽に仕上がります。若干まだらですが、強めのウェザリング仕上げとしますのでOKです。

他のホワイトのパーツも一緒に塗ってしまいます。細部は後で筆塗りします。

次にインターミディエイトブルーを塗っていきます。実機では上面のシーブルーにホワイトを混ぜたもののようですが、今回はライトグレーを多めに混ぜてブルーグレーに近いイメージにしました。下面ホワイトとの境界線は薄く溶いた塗料でボケ脚を密にします。

次にシーブルーを塗っていきます。後で退色表現をしますので、多少ムラがあってもOKです。基本塗装に3時間程度かかりました。

【4日目:退色表現】

側面を塗ったインターミディエイトブルーで退色をかけていきます。部分的にマスキングテープを使用して、パネルのエッジを際立たせたりしています。リアルではないですが、模型的に面白いです。

モットリングを重ねていく感じでさらに退色表現を重ねていきます。

シーブルーの退色表現が終わったら、次はインターミディエイトブルーの退色表現を施します。同色にホワイトを20%程度混ぜて、シーブルーの場合と同様に塗っていきます。

退色表現が終わったら黒でウォッシングをします。ウォッシングで色調が整います。ウォークウェイはダークグレーで手描きします。濃い塗料でベタ塗りをするのではなく、薄く溶いた塗料を使用してムラを強調させます。退色塗装は4時間もかかってしまいました。

【5日目:デカール】

大きなマークは特に問題ありません。ですが、本キットのステンシルは復元機を参考にしていると思われ、実機写真では見られないものが多数ありますし、色もおかしい気がします。が、無いと寂しいのであえて貼りました。

タミヤのデカールはマークセッターと相性が良いのか、この程度のモールドであればきれいに貼れます。

【6日目:小物の製作】

デカールが乾く間に小部品を作っていきます。同じ色は1度で済ませるようにします。

エンジンの追加工作はプラグコードのみです。本当はシルバーじゃ無いと思うのですが、あえて無塗装にして、完成後の存在感を狙います。

車輪のホイールは実機写真のようにダークグレーにしました。ブレーキホースはゴム系として黒で塗っています。伸縮部以外は金属パイプで、白に塗られているかもしれませんが、模型的演出としましょう。

国籍マークの部分にも若干退色を施します。実機写真を見ても、なぜか国籍マークだけはくっきりしている場合が多いですね。その後、全体にフラットクリアーをかけます。

【7日目:ウェザリング】

まずはチッピングです。シルバーにグレーを混ぜたものでアクセス部を中心に塗っていきます。できるだけ細かく入れた方がそれっぽく見えます。量の多少はお好みですが、1m離れたらあまり見えないぐらいが私は好きです。

下面の汚しに入ります。まずはオイル汚れの下ごしらえとして、黄色に少量の茶色を混ぜた塗料でオイル漏れしそうな部分を汚していきます。この時の塗料:薄め液=2:8ぐらいです。エンジンはもちろんですが、脚部からも結構なオイルが漏れていたようですので、脚庫よりも後ろ側を汚しておきます。その他はバランスを意識して適当に汚しておきます。

黄色が終わったら、ブラウン(ここではクレオスのレッドブラウン)で黄色の部分をなぞってトーンを落とします。同時に他の部分も汚していきます。パネルラインやリベットラインだけをなぞると嘘くさくなりますので、ライン上だけではなく、ドイツ機のモットリングのイメージで、全体的にバランスよく汚しを置いていきます。

次に、ほとんど黒に近いブラウンで排気煤などを意識して汚していきます。この時も、塗料:薄め液=2:8ぐらいの薄いものを吹き付け、真っ黒にならないようにします。排気煤も線を引くというよりは、点を置いていくイメージの方がそれらしくなります。

写真が判りにくくて申し訳ないのですが、最後に薄く溶いたブラウンでオイルの線を描いておきます。面相筆で気流の流れを意識して書いていきます。個人的には接写でやっとわかるぐらいが良いのではと思いますが、ここはお好みです。

【8日目:仕上げ】

クリアーが終わっているので、小物もどんどんつけていきます。照準器と防弾ガラスです。タミヤのクリアーパーツの透明度は最高です!

ライト類はランナーから切り離す前に塗っておきます。

アンテナ線の基部は、こよりを作る感じで伸ばしランナーをねじねじして、バネの表現をします。

タイヤはゴム製なので塗装による汚しができません。よってパステルで汚していきます。本機は泥汚れが正解の機体なので良いのですが、コンクリート滑走路の機体の場合には、ゴムタイヤの汚し表現は悩ましいですね。


これも模型的演出なのですが、機銃の先端をシルバーでハイライトを入れます。せっかく作った部分は事実無根でも主張したくなります。

最後に「折れそうなピトー管」、「切れそうなアンテナ線」、「汚しそうなクリアーパーツ」を取り付けて完成です!1日当り2~4時間で8日間です。実際は連続して作っていないのですが、約1週間でこの完成度はタミヤさんの精度あってのものと思います。閲覧頂きましてありがとうございました。写真をクリックして頂くとギャラリーへジャンプします。またのご来館をお待ち申し上げます。





























































































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